【浅煎り~中煎り】コーヒーの淹れ方-
モカの穏やかな酸味を引出すレシピ解説

最終更新日: 2024/12/28

中浅煎りコーヒーは、焙煎の初段階で現れる
心地よい香りと酸味を味わうコーヒーです。
同時にこの焙煎域では、不用意に抽出すると
濃度の不足や酸っぱさが強調されてしまう傾向があります。
この記事では中浅煎りらしい
香りを開かせながら、『穏やかな酸味』を引出す
ドリップコーヒーの淹れ方を解説します。

ドリップする豆はどなたにも入手が容易な
エチオピア産モカです。

ウェブ上でもコーヒー専門店でも
入手が容易なストレートコーヒー豆。
中でも心地よい酸味で知られる、エチオピア産モカを使用します。

レシピは'17年日本ハンドドリップチャンピオンシップ決勝大会出場 光店守本店長

おいしいドリップコーヒーへの第一歩は、豆の量や挽き方、お湯の量や温度を意識する事から始まります。
このレシピで、あなたがハンドドリップの入り口に立てることを願っています。光店店長 守本雅美

さあ、おいしい中浅煎りドリップコーヒーを淹れてみましょう!

1. 中浅煎り豆の焙煎域と特性について

中浅煎りの焙煎域は、シナモン ロースト(グレーの⬇︎)とミディアム ロースト(エンジ色の⬇︎)です。

豆の特性は、表皮が硬く水分の含有量が高めです。
手動式のミルで挽くと、カリカリと音がして相応の力を必要とします。

これはドリップを始めた時に、粉がお湯をゆっくりと吸収する性質を表します。
豆の挽き方とお湯の温度に注意をしながら、香りを開いていきます。

COFFEEBOY「エチオピア・モカ・ナチュラル」について

COFFEEBOYでは中浅煎りコーヒー豆として、
エチオピア シダモ地区で栽培される【モカ シダモ】を自家焙煎し、 【エチオピア モカ・ナチュラル】として発売しています。

焙煎は、シナモンローストに近いミディアムローストで煎り止めています。
モカ独特のベリーやカシスの果実味、そして軽やかでフルーティな香りが最もイキイキと開くのが、この周辺の煎りになります。

また生豆に原種が混じる事も多く、ワイルドな風味も時に現れ、
飲んでも飽きる事のない『新しい発見』をさせてくれる豆でもあります。


エチオピア・モカ・ナチュラルについてお話しします。


● ミディアムロースト ●酸味 4/5 ●甘味 3/5 ●苦味1/5 : 200g 1,300円

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2.【中浅煎り】ドリップコーヒーの淹れ方 レシピ MAP

これから解説するドリップコーヒーの淹れ方【中浅煎り編】のレシピMAPです。
シナモン ロースト〜ミディアム ローストの焙煎域で応用できます。ブックマークをしてご利用ください。

●このレシピのターゲットは、
軽快さの中に モカ フレーバーと言われる香りが、ふわっと広がる一杯に仕上げることです。
酸味は明るく爽やかな印象で終わりたいですね。

3. 用意する豆とお湯の量、挽き方と湯温について

これからコーヒー約200ml、マグカップ1杯分を淹れていきます。
準備する豆(粉)とお湯は以下の通りです。

豆の量、
豆の挽き方(挽き目)について

200mlのコーヒーを淹れるための豆 / 粉の量は20gです。

豆のまま購入する時は、中粗挽きにしてください。粗さは画像のような感じです。
粉で購入する時は、およそ中挽きになっています。(中挽きでも問題ありません。)

Q. なぜ、中粗〜中挽きなのでしょうか?

A. 挽き目を細かくするとコーヒー粉にお湯が早く浸透し、抽出時間が短くなります。思い通りのコーヒーを淹れるためには、ある程度の抽出時間が必要です。中粗挽きにすることで、抽出時間が長くなり、味をコントロールしやすくなります。

お湯の量と
湯温について

200mlを淹れるために注ぐ総湯量は260ml(仕上がりの1.3倍)です。
また中浅煎りに適した湯温は92℃です。

湯温計が用意できない時は、
・お鍋でお湯を沸騰させる
・火を落として(ぐつぐつの状態から)お湯を落ち着かせる
・常温のケトルに指定の湯量を注ぐ(常温に注意)

その過程で湯温はおよそ90℃前後になります。

仕上がりの温度は、およそ75℃。様々な要素をバランスよく感じることのできる温度です。

Q : なぜ、湯温は92℃なのでしょうか?

A. アロマを引き立たせるためです。香りは高温の方が引き立ちます。
また中浅煎りの豆は深煎りの豆に比べ水分の含有量が高いので、幾らか高い湯温の方が味わいを引き出しやすいからです。

【一言メモ】覚えておいてください。1 : 10 : 13の法則

突然の来客に豆の量を迷われたことはありませんか?この法則を覚えておけば安心です。

豆の量 : 仕上がりコーヒー量 : 注ぐお湯の量は、いつも 1 : 10 : 13
また通常のコーヒーカップは160ml、マグカップはおよそ200mlと覚えてください。
例)コーヒーカップ 2杯分320mlのコーヒーを抽出したい時には、豆は32g、お湯の量は416mlになります。

※注意※
スペシャルティコーヒーでは0.95:10:13になります。

Q. カップ数によって、豆の量はどのくらい増やせば良いのでしょうか。

A. ドリップコーヒーは、注いだお湯がコーヒー粉を通過する時に抽出される透過式です。茶葉などをお湯に浸す煎れ方とは異なります。コーヒー粉を人数分だけ掛け算する事で、美味しいコーヒーを淹れることができます。

4. 中浅煎りドリップコーヒーの淹れ方:第1投 / 蒸らし

さあ、抽出を始めましょう。
ドリップコーヒーを淹れる時は、最初に蒸らしを行います。コーヒー粉を湿らせて、抽出の準備をします。(お湯は分量外)

1投目 : 蒸らし。お湯の量と時間。

『蒸らし』
最初にフィルター内のコーヒー粉を平らにします。
その後コーヒー粉全体にお湯を満遍なく注ぎます。
画像(2段目)のようにコーヒー粉が膨らみ、抽出の準備を始めます。

蒸らしの湯量は50ml(50 g)

スケールを用意できない時は、
・サーバーにドリッパーから滴がしたたるまでドリップしてください。
最終的にサーバーの底に薄くコーヒー液が溜まる状態になります。

蒸らしの時間は、30秒。(注ぐ時間=約10秒 蒸らし=20秒が目安)
抽出の全工程は、約2分30秒です。

Q. 蒸らしの前にペーパーフィルターを濡らした方が良いでしょうか?

A. クラフト色の みさらしフィルターはリンス(濡らす)をお勧めします。匂いの除去がされていない場合があります。漂白済の白いフィルターは、リンスしなくても味には影響はありませんが、私はリンスをする派です。

詳しくは >> 浅煎りスペシャルティコーヒーの淹れ方をどうぞ

5. 中浅煎りドリップコーヒーの淹れ方:第2投 / 味形成

2投目は、味を形成するドリップです。
主なコーヒー成分を抽出します。

2投目、味形成。

2投目
蒸らしで膨らんだコーヒー粉の頂点を目掛けて、
ケトルの傾きで細く調整したお湯を注ぎます。
500円玉大の円を描くように
ケトルを回しながら注いでください。

中心から外側に、外側から中心に。何度か往復しましょう。

・ 80ml(80g)をおよそ30秒間で注ぎます。かなりゆっくりとしたドリップです。
・ スケールを用意できない時は、サーバーの目盛りが約60mlになるまで注いでください。


注ぎ終わったら、コーヒーが落ち切るのを待ちましょう。
2投目の工程は60秒です。(注ぐ時間=30秒 落ち切り=30秒)

※注意※ 時間は目安です。ドリッパーの形状などでコーヒー液の落ちる速度は異なります。

6. 中浅煎りドリップコーヒーの淹れ方:第3/4投 / 濃度調整

3/4投目は、濃度調整。
2投目と同じように500円玉大に弧を描きながらドリップしてください。

3/4投目:同じく500円玉大の内側に。

3投目
2投目と同じように500円玉大の弧を描きながら、65mlをおよそ10秒間で注ぎます。
2投目に比べ、かなり早いドリップです。お湯を少し太くして速度を上げてください。

500円玉の外側にお湯を注ぐと、ムラに仕上がったり雑味の原因になります。
2投目でできた『壁(円の外側の盛り上がった部分)』を崩さずに同じ円内に注いでください。

65mlを注いだら、コーヒーが落ちるのを待ちましょう。
3投目の工程は20秒間。(注ぐ時間=約10秒 待ち時間=10秒)

※注意※ 時間は目安です。ドリッパーの形状などで落ちる速さは変わります。

4投目
3投目と同じく65mlを同じ速度で500円玉の内側に注いでください。
260mlすべてを注いだら、
コーヒーが落ち切るのを待って中浅煎りハンドドリップの完成です!

Q. ハンドドリップ のよくある質問_落ち切りについて。

A. ドリッパー内のコーヒーを落とし切るか、ドリッパーを引き上げるかは、よくいただく質問です。答えは、抽出に掛かる時間で判断をします。ドリップを始めると、酸味、甘み、苦味、雑味の順番で成分が抽出されていきます。雑味が抽出される時間までにコーヒーを落とし切る事が正解です。落とし切れない時は、ドリッパーを引き上げてください。

7. 酸っぱくならない淹れ方とその仕組み

浅煎り〜中煎りのコーヒーは好きだけど、酸っぱくなるのが苦手と言われる方は多くいらっしゃいます。
まずは、酸味が突出する理由をお話しします。

◉ コーヒー豆は、新鮮ですか?
酸化した古い豆は、酸っぱいだけでなく様々な嫌味が現れます。焙煎から2〜3週間の豆を淹れましょう。

◉ 味のバランスを考えてローストした豆ですか?
穏やかな酸味を引き出すためには甘味や苦味とのバランスが大切です。焙煎士が焙煎機のそばで手を掛けてローストした豆を選んでください。

◉ハンドドリップで淹れてください
注ぎ方で酸味を抑えることができます。次章で解説します。

酸味が過剰に引き出される理由

ドリップを始めると、酸味と香り、甘味とまろやかさ、苦味、雑味、の順番でコーヒー成分が現れます。
酸味が突出しやすい中浅煎り豆をいつものように(=中煎り豆のように)ドリップをすると、酸っぱさが強調されます。
酸味を抑えるためには、酸味が現れる時間帯に湯量を少なくし、甘味や苦味の時間帯に多く注ぎます。

中浅煎りと中煎りレシピ、注ぐ湯量の比較

上の中浅煎りレシピMAPと同シリーズの中煎りレシピMAPを比較してください。

2投目(酸味の時間帯): 中煎り120ml : 中浅煎り80ml
3/4投目(甘味/苦味の時間帯) : 中煎り40ml : 中浅煎り65ml

味のキャラクターが現れる時間帯で注ぐ湯量を変化させ、味のバランスを整えます。
この時間差の仕組みを利用して、競技会レベルのレシピは組み立てられています。

【 中煎り 】ドリップコーヒーの淹れ方-甘さとコクを引出すレシピ解説

◉濃度が足りないと思った時は
3/4投を3回(50/50/30ml)に分けてドリップしてください。お湯がドリッパーに留まる時間が長くなると濃度が上がります。

◉薄くしたいと思った時は
3/4投の注ぐ湯を太くして、コーヒー液を早く落としてください。お湯がドリッパーに留まる時間が短くなると濃度が下がります。

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ハンドドリップは、コーヒーの世界を広げてくれます。光店守本店長

中浅煎りのハンドドリップレシピは、いかがでしたか。

ポイントは、
高めの湯温で香りを引き立て、
2投目は比較的湯量を抑え、3、4投目を多めに注ぎ、酸っぱさを抑えながら味のバランスを取ってゆく。
そんなイメージです。

コーヒーはとてもパーソナルな飲み物だと
私は思います。
どなたかのネガティブは、必ずしもあなたのネガティブではありません。
様々なハンドドリップを思考錯誤して、
あなたの中浅煎りと出逢ってください。

守本 雅美
(株)徳山コーヒーボーイ テイスティング・マネージャー / 光店 店長
*日本スペシャルティコーヒー協会主催 2017年ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ 決勝大会13位

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【中浅煎り】ドリップコーヒーの淹れ方 レシピMAPを再掲載します

中浅煎りストレートコーヒー
ハンドドリップ レシピのまとめ

○仕上がりのコーヒー量 -200ml
○コーヒー粉 -20g / 中粗挽き
○注ぐ湯量/湯温 -260ml / 92℃
○仕上がるまでの時間 -およそ2分30秒
●1投目 【 蒸らし 】
注ぐ湯量 -50ml
時間 -30秒(注ぐ時間=およそ10秒+蒸らし=20秒)
スケールがない場合 -サーバーへ滴が垂れるまで
●2投目 【 味形成の抽出 】
注ぐ湯量 -80ml
注ぐ範囲/プア・サークル -500円玉大
時間 -およそ60秒(注ぎ始めてから落ちきるまで)
スケールがない場合 -サーバー内のコーヒーが
60mlくらいになるまで注ぐ
●3投目 / 4投目 【 濃度を調整 】
注ぐ湯量 -各65ml
注ぐ範囲/プア・サークル -500円玉大
時間 -およそ20秒(注ぎ始めてから落ちきるまで)
スケールがない場合 -3投目は、130mlくらいになるまで注ぐ
4投目は落ちきるまで

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中浅煎りの穏やかな酸味を引き出すレシピで、
美味しく抽出できる3種の豆を紹介。

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