【マンデリンコーヒーの特徴と美味しい淹れ方】 - 焙煎室とカフェの現場から解説

最終更新日: 2025/01/15

マンデリンってどんなコーヒーですか?という問いに簡潔に答えられる方は、この豆の愛飲家でも多くはありません。
この記事では、マンデリン コーヒーの特徴や魅力を日々どのようにお客さまへ説明し、お薦めしているのかをお話しします。
産地や歴史といったスペックではなく、焙煎室とカフェの現場から、経験と実践に基づいたマンデリンのストーリーです。

焙煎室から: 30年の焙煎歴を持つ金近氏が解説します

焙煎室からの解説は、月間約3トン、15〜6銘柄をローストする焙煎士 金近氏です。
「まずはマンデリンの味わいを理解した上で、特徴を引き出す考え方やロースト・デザインをお話しします。」

カフェから: 7店の味を監修する光店 守本店長が解説します

カフェからは、’17年日本ハンドドリップチャンピオンシップ決勝大会出場 光店守本店長です。
「刻一刻と変化する焙煎豆を、どのように抽出しお客様へ提供しているのかを話します。ご家庭での参考にしてください。」

さあ、焙煎室とカフェの現場から、これまで語られなかったマンデリンです。

1. 焙煎室から❶ : マンデリンのイメージとは?

私が考えるマンデリンのイメージは、ネルドリップで淹れるコッくりとしたダークコーヒーです。

ネルドリップは、19世紀、西欧で生まれました。
手入れの難しさから、20世紀中期に開発されたペーパーフィルターによって取って代えられます。

その後、1杯づつ抽出するスタイルが生まれ、日本でネルドリップは再評価されることになります。
『旨味』を食の中に見出す固有の文化と、ネルでしか抽出できないとされる『コーヒーオイル』が、互いに惹かれ合った のが理由です。

喫茶店文化が華やかだったこの時代、深く焙煎するほど味わいを増すマンデリンもまた、
ダークローストファンに支えられアジア発コーヒーの地位を築いていきます。

画像提供: 原口珈琲 : 大坊珈琲店で7年の修行後、フランス ポーニックで珈琲屋台の出店を経て、地元山口市で原口珈琲を開業(敬称略)。
COFFEEBOYとはイベントを共催するなど交流の深いカフェ仲間です。

2. 焙煎室から❷:基本の味はこの市販品で確認

コーヒーの味わいを、言葉で的確に伝えることは案外難しいものです。
1つの答えとして、入手が容易な市販品から最もマンデリンらしい銘柄を選んでみました。

スターバックス社【スマトラ】
味わいからも、世界に認められた経緯からも、スターバックス社の他はありません。

1970年代、マンデリンは生産量のほとんどが日本で消費されていました。
現在は日本がおよそ10%、アメリカが70%。スターバックス社がコーヒー界の覇権を握った経緯と重なります。

様々なフラッペリー メニューを支えるコーヒーとして、マンデリンは欠かせない存在なのでしょう。

3. 焙煎室から❸ : マンデリンらしい3粒

生豆と焙煎豆(焙煎1日目)、それぞれ100粒から選んだマンデリンらしい3粒です。

この記事でお話しているマンデリンは、 【マンデリン G1】 と呼ばれるインドネシアの国営機関が管理するコーヒー豆です。
『G1』 は格付を表し、最も欠点豆を含まないグレードです。

マンデリンは、 スマトラ式 という他にはない精選法が用いられます。
スコールの多い気候柄、2度に分けて乾燥させる方法で、画像のように生豆が 深い緑色 に仕上がります。
このスマトラ式が、深煎りにした時にマンデリン独特のスパイシーさとコクを産むことになります。

●COFFEEBOYでは、【マンデリン G1】を自家焙煎して【マンデリン ロースト8(エイト)】として発売しています。

4. 焙煎室から❹ : 【マンデリン G1】と【マンデリン ロースト8】

一般的に【マンデリン G1】は、 シティ ローストからフレンチ ローストで焙煎されます。(グレーの⬇︎)
深煎りにすることで、マンデリンの特徴が引き出せることは誰もが知るところです。

【マンデリン ロースト8】は、その中でもフレンチロースト、8番目のローストにこだわります。(エンジの⬇︎)

煎り止めるのは、
焙煎からおよそ3日後に、豆肌がオイルでコーティングされるタイミング です。
ここで煎り止めることで、『苦味』と『コク』が最良のバランスになると考えます。

ここまで焼き進めると、クラック(焙煎豆3粒の左)も混じりますが、
尚、しっかりとした風味と質感を表現できるのが、マンデリンたる所以です。

【マンデリン ロースト8】味わいマップと基本情報

●商品名● マンデリン ロースト8
●焙煎● フレンチ ロースト
●ボディ/濃厚感● ベルベットのような
●原産国● インドネシア
●精選法● スマトラ製法
●品種● アラビカ種
●酸味、甘味、苦味● 1/5、3/5、5/5
●フレーバー● ピーナッツ
●アシッド/酸● -

COFFEEBOYの中で最もトルクフルな味わいの【マンデリン ロースト8】
ベルベットのような重厚感とタラゴンのようなスパイシー感。一度お試しください。

焙煎室から【マンデリン ロースト8】について話しましょう。


【マンデリン ロースト8】200g 1,760円

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5. カフェから❶ : 【マンデリン ロースト8】のお客様と抽出方

【マンデリン ロースト8】をオーダーされる方は、
・比較的 酸味が苦手でコクのあるコーヒーをお求めになる方が多いようです。

恐らく、重厚感だけではなく
・口に含んだ後 鼻に抜けるスパイシーな香りと、
その中に潜む柑橘を思わす華やかな部分に魅力
を感じておられるのでしょう。
マンデリン特有の印象であるが故に一途な愛好家が多いようです。

オーダーを受けた時には、
・しっかりとした存在感のあるコク
・スパイシーでスモーキーな余韻
を引き出すことに集中します。

マンデリンのコアな味わいを引き出す

COFFEEBOYでは、中煎り、深煎り、中浅煎りの3つの抽出方をブログにまとめています。

・【 中煎り 】ドリップコーヒーの淹れ方- 甘さとコクを引出すレシピ解説
・【 深煎り 】ドリップコーヒーの淹れ方- きれいな苦味を引出すレシピ解説
・【 中浅煎り 】ドリップコーヒーの淹れ方- 穏やかな酸味を引出すレシピ解説


【マンデリン ロースト8】はフレンチ ロースト、深煎りの焙煎域に属します。
この焙煎域は、ロースト時の炭化に伴いネガティブな要素を含むようになります。
レシピでは、アクや雑味を避け、マンデリンの『コアな味わい』だけを引き出す試みをしています。

下記にレシピMAPを掲載します。ブックマークをして抽出時の参考にしてください。

深煎りドリップコーヒー、マグカップ1杯分(約200ml)の抽出レシピ

このレシピは、深煎りの中でも【マンデリン ロースト8】をターゲットにして組み立てています。
特に以下の点に留意して、抽出してみてください。

・湯温は88℃目安で
(85℃を下回ると余韻の中の華やかさが表現できないことがあります)
・蒸らしは、ゆっくりと長めに
(ぽたぽたと落ちる雫は良質なコクが抽出されたエキスです)
・お湯の注ぎ方はセンターのみでゆっくりと
(センタープア[プア=注ぐ]で、粉を動かさずにゆっくりと注いでください)


温かい時には、重厚感のあるコクと後味にスパイシーな余韻を。
冷めた時には、コクの中にとろんとしたまろやかさを表現できればこの豆の最良です。

もっと濃度を上げたい時には

アーシーさもまた、マンデリンの特徴。もっと濃くしたい、コーヒーオイルを引き出したい。
そう考えるマンデリン愛好者もいらっしゃいます。

その時のメソッドは、
・円を描きながらドリップします
※紅茶のティーバッグを揺らすような作用を、ドリッパー内に作ります。
(描く円の大きさで濃度は変化。大きい円→濃く/小さい円→薄く/1円玉〜500円玉大が適当)

・レシピMAPの2投目を70ccづつ3回に分けて注ぐ
(コーヒー粉とお湯が接する時間を長くします)


コーヒー粉を動かす、長く湯に触れさせる事で濃度は上がりますが、
抽出は雑味が現れる3分以内に終える事が理想です。

【マンデリン ロースト8】400g 2,280円

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熟成味もまた、マンデリンの楽しみ

深煎り豆は、豆中の水分量が少なくゆっくりと酸化が進みます。同時にアミノ酸が醸成され、熟成度を増していきます。

深煎り、特にマンデリンは熟成味を味わうのに適した銘柄です。豆に鼻を近づけ、香りを嗅ぎながら日々の変化を感じてください。

フレッシュな柑橘系ではなく、熟れたぶどうや、りんご、パイナップルに近い官能的な酸味を醸します。
季節や保存法で異なりますが、焙煎後10日から1ヶ月で『飲みごろ』は訪れます。

熟成豆の詳細は、下記のメールマガジンをご覧ください。

焼きごろ、飲みごろ、ススメごろ。

●マンデリン 熟成中。 Don't Open!!
●COFFEEBOYの代表 河内山が熟成豆について話します

記事は、→こちらから

6. カフェから❷ : 競技会レベルのアイスコーヒーとハンドドリップ初心者の方へ

湿度の高い夏にキリッと清涼感を運んでくれる、日本ならではのアイスコーヒー。

COFFEEBOYでは、【マンデリン】【キリマンジャロ】を使った競技会レベルのアイスコーヒー レシピをまとめています。

・【ドリップで淹れる】アイスコーヒーの作り方 ① -マンデリン : コク編
・【ドリップで淹れる】アイスコーヒーの作り方 ② -キリマンジャロ : 爽やか編


【マンデリン ロースト8】をさまざまに楽しんでください。

競技会レベルのレシピとは?

ドリップを始めると酸味、甘味、苦味、雑味の順に抽出されます。それぞれが現れる時間帯とフレーバーや酸などの成分構成をカッピングで見極めます。抽出のゴールをデザインし、各時間帯に注ぐ湯温と湯量、注ぎ方と時間、豆の挽目を組み立て、レシピを開発します。

ハンドドリップ初心者の方へ。

器具の説明から抽出方まで。基本のドリップコーヒーの淹れ方をブログにまとめました。
【マンデリン ロースト8】も美味しく抽出できます。

・【初心者編】ドリップコーヒーの淹れ方 - 豆とお湯の量|挽き方|湯温|ドリップ解説

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7. マンデリンの基本情報 とバリスタから

・産地について
マンデリンは、インドネシア スマトラ島で栽培されるアラビカ種です。
名前は、スマトラ島のマンデリン族が栽培をはじめたという説に由来します。

アフリカや南米のように、壮大なコーヒー農園が広がるわけではなく、
他の農産物に混じってコーヒーが栽培されているのがインドネシアの特徴です。

インドネシア産のコーヒーはマンデリン以外にも、
ジャワ島のジャワコーヒーや、スラウェシ島のトラジャコーヒーなどが知られています。

マンデリン 独自の精選方法

・精選方法について
マンデリンは、スマトラ式と呼ばれる独自の方法で精選されます。
※精選とは、収穫したコーヒーの実から生豆を取り出す工程です。

通常は乾燥、脱穀の順で行いますが、スマトラ式はチェリーを収穫した日に果肉を取り出し、すぐに1度乾燥し、脱穀後に再び乾燥を行います。

雨の多い気候柄、乾燥時間を短縮するために生まれた方式です。
そしてこの方式がマンデリンならではの独特の味わいを醸すと言われます。

マンデリンのグレードと味わい

・マンデリンのグレード
マンデリンは、生産国インドネシアによって品質が厳しく管理され1~5の等級に分けられます。
G1は最も欠点豆が少なく、かつ一定の高地で栽培された豆に限られます。

・マンデリンの味わい
クリーンでフルーティーなコーヒーは世界中で確実に増えていますが、
中深煎り以降でしっかりとした風味、特に質感を表現できるコーヒーはマンデリンを置いてないでしょう。

重厚感だけではなく、口に含んだ後 鼻に抜けるスパイシーな香りと、
柑橘を思わす華やかさを併せ持つthe アジアンコーヒーです。
また冷める過程で、様々な風味が現れるのもマンデリンの楽しさ。

現在のトレンドからすればちょっぴり異端ですが、その快感に浸ることもマンデリンファンの愉悦と言えるでしょう。

食との相性と暖かい季節のマンデリン

・食との相性
欧風カレーや生クリームたっぷりのスイーツにはもちろん、ハンバーガーのお供にも是非。
パテの塩味でコーヒーもまろやかに感じますし ハンバーガーのオイル感とコーヒーのオイル感が一体化されて
美味しさの相乗効果が感じられます。

・暖かい季節のマンデリン
深煎りは涼しい季節の印象がありますが、
暖かい季節にも違った味わいを楽めます。

少し軽めの仕上がりにするために
粉量はそのまま。
湯温もそのまま。
お湯を注ぐスピードを上げて
淹れ終わりの時間を少しだけ早めに調整。
その代わりお湯を注ぐとき
いつもより気持ち大きく円を描きながら注いでみてください。


澄み渡った綺麗な青空の下、軽快なマンデリンも素敵です。

【現場のマンデリン】いかがでしたか?

一途でありながらも、自分なりの味わい方を知っていらっしゃるマンデリンのお客様。

コーヒーはとてもパーソナルな飲み物です。
どなたかのネガティブは、必ずしもあなたのネガティブではありません。
様々なハンドドリップを経験して、あなたのマンデリンと出逢ってください。

守本 雅美
(株)徳山コーヒーボーイ テイスティング・マネージャー / 光店 店長
*日本スペシャルティコーヒー協会主催 2017年ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ 決勝大会13位

8. 徳山COFFEEBOYについて

徳山コーヒーボーイは、山口県で自家焙煎豆販売とカフェの複合店を展開するコーヒー専門店です。

県東部を流れる軟水の銘川を活かした「甘いコーヒー豆」をコンセプトに、ローカル ロースターとして愛されてきました。
2024年は、ニューヨークタイムス『その年に行くべき世界の名所/山口市』の記事中で紹介され、多くの方との出会いがありました。

豆の高騰で「1杯」の大切さを強く感じる時代、One Up Qualityをテーマにハンドドリップ ブログ を多数掲載しています。
日々のコーヒーライフにお役立てください。

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