【深煎り】ドリップコーヒーの淹れ方-
きれいな苦味を引出すレシピ解説

最終更新日: 2025/01/03

深煎りコーヒーは、焙煎の最終段階で現れる
苦味と濃厚感を味わうコーヒーです。
深くまで熱を入れた豆は、焙煎時の炭化にともない
ネガティブな要素を多く含むようになります。
この記事では、アクや雑味が少なく、
深煎りらしい「きれいな苦味」を引き出す抽出方を解説します。

使用する豆はどなたにも入手が容易な
インドネシア産マンデリンです。

ドリップする豆は、ウェブ上でも、自家焙煎豆専門店でも入手が容易なストレートコーヒー豆。
中でも深煎りの代表、インドネシア産マンデリンを使用します。

監修は'17年日本ハンドドリップチャンピオンシップ決勝大会出場 光店守本店長。

おいしいドリップコーヒーへの第一歩は、豆の量や挽き方、お湯の量や温度を意識する事から始まります。
このレシピで、あなたがハンドドリップの入り口に立てることを願っています。光店店長 守本雅美

さあ、美味しい深煎りドリップコーヒーを淹れてみましょう!

1. 深煎り豆の特性と
インドネシア産マンデリンについて

深煎りの焙煎域は、シティロースト、フルシティロースト(薄いエンジの⬇︎)とフレンチ ロースト(濃いエンジ色の⬇︎)です。

深煎り豆の特徴は、水分の含有量が低く、軟らか(もろい)です。
手動式のミルで挽くと、カリカリと音もせずミルを回す力もあまり必要としません。

これはドリップを始めた時に、粉が一気にお湯を吸収してしまう性質を表しています。
豆の挽き方とお湯の温度に注意をしながら、抽出をしていきます。

「マンデリン・ロースト8」の
5味マップとフレーバー / 酸について

COFFEEBOYでは深煎りコーヒー豆として、
インドネシア産【マンデリン G1】を自家焙煎し、 【マンデリン ロースト8】として発売しています。

焙煎は、フレンチ ロースト(つまりは8番目のロースト/上の濃いエンジの⬇︎)の深いところまで焼き進めます。
煎り止めるのは、焙煎からおよそ3日後に、豆肌がオイルでコーティングされるタイミング です。

ここで煎り止めることで、『苦味』と『コク』が最良のバランスになると考えます。
また、口に含んだときの重厚感とタラゴンのようなスパイシーさも生まれます。

焙煎室から。マンデリン・ロースト8についてお話しします。


●フレンチ ロースト ●酸味 1 / ●甘味 3 / ●苦味 5

2. 『【深煎り】ドリップコーヒーの
淹れ方-レシピ MAP』

これから解説する【深煎り】ドリップコーヒー の淹れ方 レシピMAPです。
シティローストより深い焙煎域で応用できます。ブックマークをしてご利用ください。

レシピのポイントは、
・蒸らしの時間を50秒と長く取ります
・蒸らしを含むて2投でコーヒーの成分を出し切ります
・2投目は、センター プアと呼ばれるドリッパーの中心のみに注ぐ方法です


→ 長めの蒸らしで、粉が十分に抽出の準備が整った後、
ドリッパーの中心にある、きれいな成分だけを抽出します。

3. 用意する豆の量とお湯の量。
豆の挽き方とお湯の温度について

このレシピでは、およそ200mlのコーヒーを抽出します。
この章では豆やお湯の量、豆の挽き方やお湯の温度について解説します。

豆の量、仕上がりコーヒー量、お湯の量について

このレシピの材料は以下の通りです。

・豆の量   20g
・仕上がり量 200ml(g)
・お湯の量  260ml(g)


材料比は、
・豆の量 : 仕上がり量 : お湯の量 = 1 : 10 : 13
になります。

【一言メモ】覚えておいてください。1 : 10 : 13の法則

突然の来客にコーヒー豆の量を迷われたことはありませんか?
ホットコーヒーでもアイスコーヒーでも、この法則を覚えておけば安心です。

豆の量 : 仕上がりコーヒー量 : 注ぐお湯の量は、いつも 1 : 10 : 13
また通常のコーヒーカップは160ml、マグカップはおよそ200mlと覚えてください。
例)コーヒーカップ 2杯分320mlのコーヒーを抽出したい時には、豆は32g、お湯の量は416mlになります。

注意
これはストレートコーヒー豆についての法則です。
スペシャルティコーヒーやアイスコーヒーでは配分が異なります。

Q. カップ数によって、豆の量はどのくらい増やせば良いのでしょうか。

A. ドリップコーヒーは、注いだお湯がコーヒー粉を通過する時に抽出される透過式です。茶葉などをお湯に浸す煎れ方とは異なります。コーヒー粉を人数分だけ掛け算する事で、美味しいコーヒーを淹れることができます。

豆の挽き方とお湯の温度について

豆の挽き方
・中粗挽き~中挽き(画像を参照)
※ ミルをお持ちなら中粗挽きに設定してください。市販のコーヒー粉の場合はおよそ中挽きに挽かれています。

お湯の温度  
・85℃
85℃はマンデリンのスパイシーさを引き出すために適した湯温です。
また低めに温度設定をして、コーヒー液が一気に抽出されるのを防ぎます。

湯温計をお持ちなら正確に測ってください。

湯温計が用意できない時は、
・お鍋でお湯を沸騰させる
・火を落として(ぐつぐつの状態から)お湯を落ち着かせる
・常温のケトルに指定の湯量を注ぐ(常温に注意)
・その過程で湯温はおよそ90℃前後になります。

Q. なぜ、中粗挽きなのでしょうか?

A. 挽き目を細かくするとコーヒー粉にお湯が早く浸透し、抽出に使える時間が短くなります。思い通りのコーヒーを淹れるためには、ある程度抽出に掛ける時間が必要です。中粗挽きにすることで、味をコントロールしやすくなります。

4. 深煎りドリップコーヒーの淹れ方:
第1投 / 蒸らし

この章では、ペーパーフィルターをセットして、
第1投 蒸らしまでを解説します。


ペーパーフィルターをセット。コーヒー粉を入れます。

豆とお湯が用意できたら、ドリップの準備をします。

・ペーパーフィルターをセットして、お湯を回しかけましょう。
・ドリッパーに用意した中粗挽きコーヒー粉 20gを入れてください。


ハンドドリップのよくある質問
Q.
ドリップを始める前に、ペーパーフィルターは濡らした方が良いのでしょうか?

A.
湿らした方が良いか、乾いたまま抽出を始めるかにはいろいろと議論があります。

・クラフト色のみさらし(無漂白)フィルターの場合は、リンス(湿らす)することをおすすめします。
匂いが除去されていない場合があります。

・漂白済みの白いフィルターは、コーヒーの味には影響がありませんが、わたしはリンスをする派です。

1投目の蒸らしでは、乾燥したコーヒー粉にお湯を注ぎ、粉を開かせて抽出の準備をします。
蒸らした後、ドリッパー内のコーヒー粉一粒一粒が同じ状態に蒸れていることが理想です。
そして、2投目のヨーイドンで一斉に粉が抽出を始める。それがムラなくコーヒーを抽出するイメージです。

ハンドドリップでは、直接フィルターにお湯を掛ける事は、(紙臭がコーヒーに移るため)NG行為です。
フィルターの際(きわ)のコーヒー粉までしっかり均一に蒸れるように、わたしはリンスをします。

1投目 : 蒸らし。お湯の量と時間。

さあ、ハンドドリップのスタートです。

第1投は「蒸らし」です。
最初にドリッパーをトントンと叩いてフィルター内のコーヒー粉を平らにします。
そして、コーヒー粉全体にお湯を満遍なく注いでいきます。
画像(2段目)のようにコーヒー粉が膨らみ、抽出の準備を始めます。

蒸らしの湯量は50ml(50 g)です。
スケール(計量器)を用意できる時は、
・サーバーにフィルターをセット、コーヒー粉を入れた状態で0gにセットてください。
・蒸らしのお湯を50ml(50g)ドリップしてください。


スケールを用意できない時は、
・サーバーに滴がしたたるまで注ぎましょう。
最終的にサーバーの底に薄くコーヒー液が溜まる状態になります。

蒸らしの工程は、50秒間です。(注ぐ時間=約10秒 蒸らし=40秒が目安)

5. 深煎りドリップコーヒーの淹れ方:
第2投 / 味形成と濃度調整

第2投は、味の形成と濃度調整です。
ここではセンター・プア(センター=中心/プア=注ぐ)と呼ばれるお湯の注ぎ方をします。

第2投。コーヒーの主な成分抽出と味形成。

第2投。
【深煎り】ドリップコーヒーの淹れ方で大切なのは、
焙煎時に発生した雑味を抽出しない様にドリップをすることです。

蒸らしで膨らんだコーヒー粉の頂点に、
細いお湯をス〜と注いでください。
ケトルを動かさずドリッパーの中心だけを目掛け、
210ml全ての湯を注ぎきりましょう。

このドリップ方法を『センター・プア』と言います。(プアは英語で注ぐ:pourを意味します。)
中心の雑味のないクリアなコーヒーだけを抽出します。2投目でコーヒー成分を全て出しきります。

210mlを注ぐ時間は約1分40秒、
2投目の工程は約2分10秒です。(注ぐ時間=100秒 落ち待ち=30秒)

何度かドリップをしてみて濃度を調整したい時は、注ぐ速度やお湯の太さを変化させてください。
・薄くしたい時は、
注ぐ湯を太くして、サァ〜と早く落としましょう。
・濃くしたい時は、
中心から小さな円を描くように細いお湯を注いでください。


さあ、コーヒーがサーバーへ落ち切ったら、深煎りドリップコーヒーの完成です!!!

Q. ハンドドリップ のよくある質問_落ち切りについて。

A. ドリッパー内のコーヒーを落とし切るか、ドリッパーを引き上げるかは、よくいただく質問です。答えは、抽出に掛かる時間で判断をします。ドリップを始めると、酸味、甘み、苦味、雑味の順番で成分が抽出されていきます。嫌な苦味が抽出される時間帯までにコーヒーを落とし切る事が正解です。落とし切れない時は、ドリッパーを引き上げてください。

6. バリスタからのメッセージとまとめ

ドリップコーヒーの淹れ方【深煎り編】は、いかがでしたか?

ハンドドリップは、コーヒーの世界を広げてくれます。光店守本店長

わたしから一つ、提案があります。
このレシピを試された後、次は湯温を78℃に下げて抽出をしてみてください。
これまでになくスパイシーで味わい深いマンデリンを発見できると思います。

コーヒーは、時間の経過によって移りかわるカラフルさを楽しむ飲み物でもあります。
そんな味わい方を知っている方なら、きっと喜んでいただけるはずです。

ここに記したレシピは、深煎りドリップコーヒーの淹れ方の一つの基準にしか過ぎません。
様々なハンドドリップを思考錯誤して、ぜひ、あなた のマンデリンと出逢ってください。

守本 雅美
(株)徳山コーヒーボーイ テイスティング・マネージャー / 光店 店長
*日本スペシャルティコーヒー協会主催 2017年ジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ 決勝大会13位
*日本スペシャルティコーヒー協会_過去の競技結果

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【深煎り】ドリップコーヒーの淹れ方 レシピMAPを再掲します。

ドリップコーヒーの淹れ方
【深煎り編】のまとめ

○仕上がりのコーヒー量 -200ml
○コーヒー粉 -20g / 中粗挽き
○注ぐ湯量/湯温 -260ml / 85℃
○仕上がるまでの時間 -およそ3分00秒
●1投目 【 蒸らし 】
注ぐ湯量 -50ml
時間 -50秒(注ぐ時間=10秒+蒸らし=40秒)
スケールが用意できない場合 -サーバーへ滴が垂れるまで
●2投目 【 コーヒーの味形成 】
注ぐ湯量 -210ml
注ぐ範囲/プア・サークル -中心のみにドリップ / センター・プア
時間 -注ぐ時間=100秒(その後、落ち切り)

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深煎りのきれいな苦味を引出すレシピで、
美味しく抽出できる4種の豆を紹介。

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